内科

内科
Internal medicine

動物医療は基本的に「総合診療」です。
皮膚病、呼吸器疾患、循環器疾患、腎泌尿器疾患、神経病、消化器疾患、内分泌疾患、腫瘍性疾患など、各種疾患の診療・治療を行っております。
また当院では内科担当獣医師との連携や海外薬の導入により多くの治療薬をご提供しています。

膿皮症(細菌性皮膚炎)

犬で最も多く見られる皮膚疾患です。強い痒みと脱毛が症状としてよく認められます。

症状

  • 皮膚の痒み(軽度~強い痒みまで様々)
  • 脱毛
  • かさぶた、フケ
  • 発赤

原因

湿気やアレルギー性皮膚炎、免疫力の低下などにより皮膚にいる細菌が増加し、痒みと脱毛を引き起こします。通年で見られますが、夏場に発生することが多いです。

診断

  • 皮膚検査:皮膚スタンプ検査、細菌培養検査など
  • 皮膚病変:ホットスポットの有無(痒みのある部位の皮膚が赤く脱毛している部分)

治療法

薬用シャンプー、抗生物質の投与が基本となります。軽度であれば軟膏タイプ等で対処できますが、全身性で重度の場合などは内服も必要になります。
体質的に膿皮症に何度も罹ってしまう子は、特定の抗生剤が効かなくなる「耐性菌」などの関与もあるため、治療が長期間にわたる可能性もあります。
いろいろな方法があるため、オーナー様のライフスタイルや動物に合った治療法を相談しましょう。

胆泥症

胆嚢にたまっている胆汁がドロドロした状態で、多くの犬・猫に認められる疾患です。

症状

無症状のことがほとんどで、多くは腹部超音波検査で偶発的に見つかります。しかしながら胆泥症が重度の場合、二次的に胆のう炎や胆管閉塞、胆嚢破裂を引き起こす可能性があり、突然の元気食欲の低下、黄疸、吐き、下痢などの症状が認められます。最悪の場合、重度の炎症からショックに陥り命にかかわるケースもあります。

原因

  • 年齢的要因(比較的中年齢以上で多く認められます)
  • 脂質代謝異常(中性脂肪・コレステロールの過剰)
  • 膵炎
  • 内分泌疾患(甲状腺機能低下症、糖尿病など)
  • その他

診断

  • 腹部超音波検査
  • 正常な胆嚢
  • 軽度~中程度胆泥症
  • 重度胆泥症

治療法

原因となる病気がある場合にはその治療を優先し、一般的には胆汁の排出を良くする「利胆剤」の内服を行います。その他に食事療法や適度な運動も推奨される場合もあります。胆嚢破裂を予防するために胆嚢を摘出することもありますが、一般的にリスクが高いため、症例の重症度にあわせて検討します。
胆泥症は無症状のケースが多いため、その動物の状態に合わせて治療を選択することをお勧めしています。

膵炎

何らかの原因ですい臓に強い炎症が発生し、消化器症状を引き起こす病気です。

概要

膵臓(すい臓)は血糖値を調節するインスリンを出すという機能の他に、食べ物を消化する酵素を作る働きも持っています。その消化酵素が何らかの原因で膵臓自身に炎症をもたらすことで重度の消化器症状を示し、場合によっては炎症が全身に波及して死に至ることもあります。急性膵炎から無事に復活できても多くは慢性膵炎となるため、再発をするケースが多くあり、また検査等で膵炎が疑われても、慢性的にずっと無症状のまま過ごす犬・猫もいます。

症状

急性膵炎

  • 激しい嘔吐(水を飲んでも吐く)、下痢
  • 腹痛
  • 食欲・元気の廃絶

慢性膵炎

  • 消化不良~軟便、下痢
  • 比較的弱い嘔吐

原因

  • 食事(高脂肪食、人間の油っこい食べ物など)
  • 脂質代謝異常症(中性脂肪・コレステロールの過剰)
  • 肥満
  • 内分泌疾患(甲状腺機能低下症、糖尿病など)
  • 好発品種(ミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリアなど)
  • 薬物
  • ストレス など

診断

  • 臨床症状
  • 血液検査:CRP、白血球、アミラーゼ、リパーゼの上昇、膵特異的リパーゼの測定
  • 腹部超音波検査:膵臓領域の腫大、高エコー

治療法

急性膵炎の場合重症化することもあるため、入院治療をお勧めしています。膵炎を引き起こした明らかな原因が分かっている場合にはその治療を優先しつつ、基本的には点滴治療を行い、状況に合わせて吐き止めや疼痛管理などを実施します。
膵炎の急性期からの離脱や慢性膵炎の維持には、内服薬の投与や低脂肪食などの食事療法がメインとなります。

前立腺膿瘍

未去勢の雄犬に多く見られる前立腺の病気です

原因

前立腺は雄だけが持っている生殖器の一部で、排尿や精液の調節をしている所です。去勢をしていない犬は、中年齢から高齢期にかけて男性ホルモンの影響で前立腺が肥大することが多く、その過程で前立腺が感染するリスクも多くなります。感染が重度の場合、全身に炎症が波及して突然ぐったりしたり、治療が長引くこともあります。

症状

  • 元気食欲の低下(主に強い炎症の影響による)
  • 頻尿
  • 血尿
  • 膿尿(おしっこに膿が出てくる)
  • うんちが出にくい

診断

  • 血液検査)白血球の上昇、CRPの上昇
  • 画像検査)レントゲンおよびエコー検査で前立腺の肥大や嚢胞の確認
  • 尿検査)白血球の出現、細菌の確認
  • 前立腺肥大および嚢胞 (大きさ約37.6mm)
  • 治療後(大きさ約23.2mm)

治療法

背景に男性ホルモンが関与している場合がほとんどのため、去勢手術を実施します。ただし、症例の状態によっては抗生剤投与や点滴治療などの内科治療を優先させた方がよい場合もあるため、飼い主様とよく相談して治療プランを組み立てていきます。一般的に前立腺膿瘍は完治までに時間がかかるケースが多く、抗生剤の投与が1~3ヶ月以上必要となります。

特発性てんかん

急なけいれん発作を特徴とする原因不明の脳疾患です

原因

けいれん発作の原因として脳神経疾患、心疾患、内臓疾患などがありますが、様々な検査を実施しても明らかな異常が認められず、原因不明にけいれん発作が起こる場合を特発性てんかんと呼びます。完全に意識が消失し四肢がつっぱってけいれんする場合が多く見られますが、ピクピク震えたり、よだれが出るだけなど発作が軽い場合もあります。
発作はいつ起こるか分かりませんが、興奮して吠える、気圧の低下(雨や台風の時)、びっくりした時などが引き金になることが多いようです。

症状

  • 倒れて全身がけいれんする
  • よだれ
  • 失禁(けいれんしながら尿が出る)
  • 四肢がピンとつっぱる

診断

血液検査、レントゲン、エコー検査、MRI検査などを実施しても、けいれんを引き起こすような明らかな異常が無いことを調べる。

治療法

けいれん発作の頻度が1~3ヶ月に1回程度の場合は無治療で経過観察あるいは座薬タイプの抗てんかん薬を用います。発作が月に何回も起こるような場合は抗てんかん薬を毎日内服し、基本的に生涯にわたり内服することとなります。