症例ギャラリーGallery
牛浜ペットクリニックで、実際に施術した症例の一部をご紹介します。
※血液や手術等の写真が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

猫の子宮蓄膿症/子宮水症
猫の子宮蓄膿症/子宮水症
症例情報
ヒマラヤン(約2.5kg)、8歳、未避妊雌
症状
お尻の周りを気にする、元気食欲はある
検査
血液検査にて異常所見は認められなかった。
レントゲンで子宮様陰影が認められ、
腹部超音波検査において子宮の腫大と子宮内の腫瘤状病変を多数認めた。
- 子宮様陰影の確認
- 子宮内液体貯留および腫瘤状病変を認める
診断
子宮蓄膿症(または子宮水症)および子宮内腫瘍の疑い。
治療
子宮卵巣摘出術(避妊手術)を実施し、摘出臓器を病理検査に提出する。
- 腫大した子宮を確認
- 左右の子宮を露出したところ
獣医師のコメント
子宮蓄膿症/子宮水症は一般的に犬でよく見られる疾患で、猫では非常にまれな病気です。猫では明らかな臨床症状を示さない場合が多く、血液検査でもはっきりしないことがあります。
今回の症例は摘出した子宮を調べたら膿がたまっていたので、子宮蓄膿症と診断しました。また子宮内の腫瘤は病理検査の結果「子宮内膜過形成」という非腫瘍性のものだったので、今回子宮と卵巣を摘出しているので予後は良好であると考えられます。
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セントバーナードの去勢手術
セントバーナードの去勢手術
症例情報
セントバーナード(約63kg)、1歳齢、未去勢雄
主訴
去勢をしてほしい
- セントバーナード犬 ※Wikipediaより転載
- 切除した精巣(アロンアルファは比較)
獣医師のコメント
大型犬の手術には人手と時間が必要になります。たかが去勢といっても精巣の大きさは小型犬の5~10倍くらいあり、血管も太いため出血がしやすくなります。 当院では簡単な去勢や避妊手術でも人数を揃え、手術が迅速に進むように万全の準備をしています。
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膣ポリープ
膣ポリープ
症例情報
チワワ(約2.5kg)、6歳、未避妊雌
症状
2週間前から陰部が腫れている。尿が増え、臭いが強い。
- 外陰部からポリープが出ている
検査
血液検査にてCRPの上昇を認め、腹部超音波検査では軽度の子宮腫大を認めた。
陰部の腫脹は膣より発生しているポリープの可能性が考えられた。
診断
膣ポリープおよび子宮蓄膿症の疑い
治療
子宮卵巣摘出術と同時に、膣ポリープの切除を実施する。
- 尿道開口部を確認
- ポリープ切除後
- 摘出したポリープ
獣医師のコメント
膣ポリープは卵巣ホルモンの影響で発生・増殖すると言われており、未避妊の雌犬でよく認められます。大きくなったポリープが陰部から出ているけど無症状のこともあれば、尿道を圧迫して排尿障害を示すこともあります。いずれの場合も避妊手術と同時に外科的切除が適応となります。今回の症例は「線維平滑筋腫」という良性腫瘍に分類され、切除により良好な予後が期待されます。
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肛門腫瘤摘出
肛門腫瘤摘出
症例情報
雑種犬(約20kg)、11歳、避妊雌
症状
2年前から肛門の2時の方向にしこりがあり、徐々に大きくなっている
検査
血液検査および画像診断において大きな異常や明らかな転移像は認められなかった
細胞診の結果、肛門周囲腫瘍の疑いがあるが良性か悪性の判別は困難であった
診断
肛門周囲腫瘍の疑い
治療
肛門腫瘤を外科的に切除する
- 肛門2時方向の腫瘤
- 腫瘤摘出・皮膚縫合後
- 術後1ヶ月
獣医師のコメント
何か腫瘤(しゅりゅう/しこり)がある場合、見た目だけの判断で腫瘍なのかどうかを判別することは困難です。そこで簡単にできる検査として「細胞診(FNA)」というものがあります。腫瘤に細い針を刺して中の細胞を採取し、それを顕微鏡で確認して腫瘍性疾患が疑われるのか、それとも感染症や炎症の疑いがあるのかを判断できます。しかしながらFNAで腫瘍性疾患が疑われても、良性か悪性なのかを区別するのは非常に難しいです。そのため「しこり」が腫瘍性疾患の疑いがあるなら、全身を検査して転移の兆候が無いかどうかを評価して、問題なければ外科的に切除し病理検査で確定診断を得ることができます。
統計的に肛門周りの腫瘍は悪性の場合が多いですが、この症例は病理検査の結果「肛門周囲腺腫」という良性腫瘍に分類される腫瘍で、外科的に完全に切除できたため予後は良好なものと考えられました。
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結膜癒着切除
結膜癒着切除
症例情報
雑種猫(約4kg)、2歳、未避妊雌
症状
左眼が開かない、今回避妊手術をしたいので眼の処置をしてもらいたい
- 症例外貌
- 左眼拡大:結膜が癒着している
検査
血液検査において特記する異常は認められなかった
結膜は癒着しているが、眼球との癒合はしていなかった
診断
左眼結膜癒着
治療
避妊手術のときに左眼の結膜の一部を外科的に切除する
- 処置前
- 処置後
獣医師のコメント
今回の症例は生後すでに左眼の結膜が癒着していました。猫の結膜癒着の原因には先天性、外傷などがありますが、多くはヘルペスウィルスの感染によります。眼球との癒着がなければ比較的きれいに切除することが可能になり、術後もほとんど違和感がありません。
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口唇部メラノーマ
口唇部メラノーマ
症例情報
ミニチュアダックス(約5kg)、11歳、避妊雌
症状
下くちびるにできものがある
検査
血液検査およびレントゲン検査において特記する異常は認められなかった
診断
口唇部腫瘤(鑑別:炎症、肉芽腫性疾患、腫瘍性疾患)
治療
腫瘤を外科的に切除する
- 口唇部に発生した腫瘤
- 切除後1週間
- 切除後2ヶ月
獣医師のコメント
皮膚などのしこり(腫瘤)がある場合、細い針を用いてしこりの細胞を採取しどのような鑑別が挙げられるか判断するのが一般的です。しかしながら今回の症例は唇の部分に腫瘤があり、針を刺すのも困難な状況だったため、診断目的で切除を実施しました。 結果は悪性黒色腫(メラノーマ)という悪性腫瘍(=癌)でした。最近の研究では口腔内にできるメラノーマは非常に悪性度が強いものが多いのですが、口唇部のメラノーマでは悪性でもきれいに腫瘍を切除できていれば比較的良好な経過をたどる可能性が高いとされています。 できるだけ腫瘍の細胞を残さないように切除したので今後の再発や転移に注意しながら経過観察をしていきます。
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猫の子宮蓄膿症/子宮水症
猫の子宮蓄膿症/子宮水症
症例情報
雑種猫(約3.5kg)、15歳、未避妊雌
症状
お腹が急に膨らんできた
検査
腹部膨満以外での外見上の異常は認められず。
血液検査では大きな異常は認められなかった。
レントゲンで腹腔内に多数の腫瘤状陰影が認められ、
腹部超音波検査において子宮が腫大していることが確認された。
診断
子宮蓄膿症/子宮水症疑い
治療
子宮卵巣摘出術(避妊手術)を実施する
- 腫瘤状陰影の確認
- 腫瘤の正体は子宮であると判断
- 腫大した子宮を確認
- 子宮と卵巣を結紮して摘出
獣医師のコメント
子宮蓄膿症/子宮水症は一般的に犬でよく見られる疾患で、猫では非常にまれな病気です。犬では陰部からの排膿や出血が見られることが多いのですが、猫では明らかな排膿もなく、症状もはっきりしないケースの場合がほとんどです。
腹部膨満の症状は内分泌疾患、感染症、腫瘍性疾患など多くの病気に当てはまるので、血液検査や画像検査を実施して原因の特定をすることが診断をする上で重要となります。
手術は子宮と卵巣の摘出を実施するので、若い頃に避妊手術をすることで100%予防できる病気です。
※ドクターコメントで使用している情報や画像等は全て飼い主様からのご了承を得て掲載しています。

会陰ヘルニア
会陰ヘルニア
症例情報
ミニチュアダックスフンド(約3.5kg)、14歳、未去勢雄
症状
肛門の左横が急に腫れてきた
検査
血液検査および画像診断において重大な異常は認められなかった
直腸検査で、直腸の走行が左側に変位しており、明らかな腫瘤は認められなかった
診断
会陰ヘルニア(左側)
治療
メッシュ法にてヘルニア整復術を実施する
- 肛門の左側を切開しているところ
- メッシュを通しているところ
獣医師のコメント
今回の症例は急に肛門が腫れてきたという主訴で来院されました。このように会陰ヘルニアは突然に起こることもあります。もちろん感染症や炎症、腫瘍性疾患などによる腫れも考えなければなりませんが、大体は直腸検査で分かることがほとんどです。
症状が軽度であっても、後々膀胱や前立腺までもヘルニア嚢内に入り込む危険性があるため、早めの手術をおすすめしています。発症には男性ホルモンが関与しているとも言われているため、若いうちの去勢手術で予防できる可能性のある病気です。
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